マタイさんからのお手紙を読んでいきますが、特に有名なのは5章です。聞いたこともあるかもしれませんが「山上の説教」と言われている箇所です。
この5章にはキリストの教えのエッセンスが断片的にまとめられています。この箇所は5~7章まで続く長い説教集で、それぞれの教えがとても大切なお手紙となっています。
この5章に触れる前に、私はとても重要な部分を読み流してはいけないと、いつも思っています。それは、これから始まるキリストの教えのエッセンスが「誰に向けて語られたのか?」ということです。
この部分にキリストがその教えを伝えようとした相手がいるのです。ここを私たちは見逃してはいけないと感じます。
マタイ福音書・伝えようとした相手は?
5章は多くの研究書などでも取り上げられますので「山上の説教」は有名なのですが、着目したいのは、そのすぐ直前の文章なのです。マタイさんは「誰に向けて」キリストが語ったのか?ということです。
4章の結びの手紙に次のようにマタイさんは書いています。『人々がイエスのところへ、いろいろな病気や苦しみに悩む者、悪霊に取りつかれた者、てんかんの者、中風の者など、あらゆる病人を連れて来たので、これらの人々をいやされた』(4:24)
そして『イエスはこの群衆を見て、山に登られた』(5:1)とあります。山というのは旧約時代から、神さまのいる場、と捉えられていました。つまり、キリストは神の顕現としてことばを語るのだ、とマタイは強調したかったのであろうと思います。
では、キリストが語り掛けた「この群衆」とは具体的にどのような方がだ立ったのでしょうか。その人々は病気や苦しみに悩む人。悪霊に取りつかれた人。てんかんの人。中風の人(手足などにマヒのある方)。あらゆる病人。とあります。
ですので、決して裕福な人や、権力のある人、地位のある人ではなかったのです。キリストは現世において苦しみを抱えて生きている方々に向けてメッセージを発しているのです。
どこか遠くにいる方々に向けて語っているのでもありません。現実にキリストの目の前にいる、苦しんで、もがいて、どうしようもない状況の中で生きていくのが精一杯の方々に話したのです!!
マタイ福音書・山上の説教から・地の塩
マタイさんが伝えてくれているお手紙の中でも、中心的なキリストの教えとなっている「山上の説教」はその中心部分を多くの牧師さんたちが解説していますので、私はその少し後の説教の部分からお手紙を読みたいと思います。
〇地の塩、世の光「あなたがたは地の塩である。だが、塩に塩気がなくなれば、その塩は何によって塩味が付けられよう。もはや、何の役にも立たず、外に投げ捨てられ、人々に踏みつけられるだけである。
あなたがたは世の光である。山の上にある町は、隠れることができない。また、ともし火をともして升の下に置く者はいない。燭台の上に置く。そうすれば、家の中のものすべてを照らすのである。そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい。」
マタイさんはキリストの言葉を伝えてくれています。「あなたがたは地の塩である」ここで言う「あなたがた」とは、いえまでもなく、先ほどの人々です。
世の中に合って、苦しみ悶え、病気に悩み、人々からは蔑まれ、病気のゆえに共同体からも仲間外れにされていた人々に向かって語り掛けているのです。
当時は病気である、ということは「けがれた者」とみなされて、病気がうつらないように仲間外れにされていたのです。
ですから、キリストが語り掛けた相手は身体に病気があるというばかりではなく、それゆえに精神的にも辛い思いをしている人々に対してなのです。
身体の病気も辛いですが、共同体から仲間外れにされるという、心の痛みをも抱えていた方々なのです。
その苦しむ人々に向かってキリストは「塩に塩気がなくなれば、その塩は何によって塩味が付けられよう。」と語ります。ご存知の通り、塩は他の何によっても塩味をつけることができない、天然のものです。
キリストはあなたがたは「塩そのものなのだ」あなただけがもの味(個性)を失ってしまったら、どうやってあなた自身を取り戻すことができるだろうか?
苦しみ、悲しみ、孤独の中にあっても、あなたはあなたのままで良いのだよ!
そういって、自分が自分であることを放棄せずに、自分だけの味を持って生きていきなさい。と語るのです。そして「あらゆる病人を連れて来たので、これらの人々をいやされた」のです。
救いのメッセージは、健康であることや、お金持ちであることではなく、あなたがあなたのままの持ち味をしっかりと生きていくことなのです。
誰にも変わることのないあなただけの人生を自分の足で歩んで行くことなのです。
誰かと比べる必要なんて全くないのです。そのままのあなたを神さまは愛しておられること、そのことに気づいて神さまと共に生きていくことなのです。
マタイ福音書・山上の説教から・世の光
またキリストは語ります「あなたがたは世の光である」。かけがえのないあなたのあり様を人々の前で輝かせなさい!
苦しいのも分っています。病気が辛いのも分っています。精神的に孤独なのも私はちゃんとわかっています。とキリストは言います。
でも、それでいいのだよ。他の人と自分を比べて卑屈になって隠れていないで、あなたがしっかりと生きている姿を人々の前で輝かせなさい!というのです。
あなたが神と共に生きている姿は世の中を照らす光となるのですから!私が共にいるのだから、安心して、自信をもって、自分を生きていきなさい!と強く励ましてくれているのです。
マタイさんの速達のメッセージは「キリスト(救い主)と共に人生を歩んでいくこと」を様々な言葉で伝えてくれます。
マタイ福音書・まとめ
今回はマタイさんからの速達2通目として「地の塩・世の光」を受け取り、当時の悩み苦しむ人々が社会的にも、共同体から仲間外れにされていたということをお伝えしました。
あなたがあなたにしか生きることの出来ない人生をしっかりと持ち味を(塩)を持って生きて行って欲しい!そのようなマタイさんからのメッセージが伝わってくるようですね!!
マタイさんからの速達①・・・https://kim-kuni.com/mikotoba/
新共同訳聖書・マタイによる福音・・・http://www.yoyoue.jpn.org/bible/mat.htm
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